俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「やだ! 入ってこないで!」
「お前こそ朝から近所迷惑だろーが。わけわかんねーよ!」
「あたしもわかんないっ!」
ポカスカと固く結ばれた手が俺の肩に落とされる。
「いてーよ。コラ」
その両腕をつかみ、攻撃を封じた。
俺の方が力が強いようで、激しくなる息切れとともに次第にその腕からは力が抜けていった。
「離してっ!」
「わかったわかった。とりあえず、落ち着けって」
高そうなタイルが敷き詰められている玄関で、
必死にアリサをなだめる俺。
優しく両腕を握り直してから、彼女をじっと見つめていると。
弱々しいつぶやき声が聞こえてきた。
「今、1人にしないでよ……バカ……」
――ふぁい!?
1人にさせてって言ってたくせに。
どっちなんだよオイ! ほんっと女ってわけわかんねぇー!!!