俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


落ち着かせようと思い、彼女の頭に手を置こうとしたが。


ディフェンダーをかわす名フォワードのごとく、するりと体をそらされる。



「本当にごめんなさいっ!」



そう言って、ゆみりはカバンを片手に走り去った。



「わ、待って」



反射的に俺もその後姿を追いかけた。



ゆみりは、ガラッと玄関ドアを開け家を飛び出す。


俺もスニーカーのかかとをつぶしながら外へ出た。



しかし、間に合わなかった。



既にまっすぐ続くアスファルトの先にゆみりはいた。


ノーヘルのまま自転車を激こぎしているらしく、すぐに姿が小さくなる。



「はぁ、はぁ」



早ぇ……。俺も超ダッシュしたんですけど。


頭の整理がつかないせいで、息切れをしながら膝に両手を置くことしかできない。



その時――



「ねぇ、今、女の子が泣きながら出てきたよね……?」



聞こえてきたのは、よく知っている声だった。



さっき、ゆみりに迫られた時にも、


頭の中に聞こえてきた――。


< 78 / 269 >

この作品をシェア

pagetop