俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「……何で、いるの?」
「ちょうど家庭教師しに行くとこだったんだけど。頼んできたのはそっちだよね」
「まあ」
「……ねぇ良ちゃん、さっきの女の子に何かしたの?」
顔を上げる。
もちろん目の前にいたのは、アリサで。
少し茶色くなった髪の毛を風になびかせ、いつもより低い声で俺に話しかけてきた。
おい。なぜ全国の女子代表みたいな鋭い視線を向けてくるんだ?
「……なんもしてねーよ」
ため息とともにそう吐き出す。全身に力が入らない。
アリサはなぜかふっと口角を上げた。
「そっか。良ちゃんも女の子泣かせるくらいになったんだね」
「はぁ?」
思いっきり不機嫌な声を出してしまったが、
構わず、アリサは俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でてきた。
自分の中にある、得体のしれない感情がかき混ぜられていくかのよう。
くそ。なにが、女の子泣かせるくらいになったんだね、だ。
また子ども扱いしてきやがって。
でも、上向きに伸ばされた右手をのけることはできなかった。
アリサがすごく嬉しそうな顔をしていたから。