今夜、愛してると囁いて。


「香澄、家の前に誰かいるけど」

「え〜……?」


軽くゆすられて、仕方なく健人の肩口から顔を出す。

彼の言う誰か、をこの目で確認して、あたしは一気に血の気が引いていくのを感じた。


「どうも。」


コートのポケットに手を突っ込んで、寒さて鼻を真っ赤にして立つ――伊月梓。

その人はあたしの姿を見るなり見たこともないほど不機嫌そうに眉をひそめてあた。


「……香澄の彼氏?」


健人が小さく呟いてあたしに視線だけを向けてくるけど、あたしは血の気を失い乾いた唇では何も答えることができなかった。


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