甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
「エインズワース子爵のところには、湖の煇と呼ばれる
ブルー・サファイアがある。あいつが狙っているのはそれ」
「そのためにイリーナさんに近づくの?」
「それが奴のやり方だから」
「じゃあ、この狩猟館に来たのも、私を妹ってことにしたのも
全部そのためなのね」
「......」
セオはしばらくなにも答えなかったが、くるっとフィーネの方をむくと
じっとフィーネを見た。
「フィーネが嫌なら、なにも無理してエリザ=オルセンになる
必要はない、フィーネが抜けても、ユアンはどうとでも
するだろう」
「計画そのものを止める気はないのかしら」
フィーネの呟くような言葉に、セオは困惑したように眉をよせる。
「どうしてユアンは人を騙して、宝石や金銭をとりあげるようなこと
をするの、お金のためじゃないんでしょう?」
「それは......」
セオは言い淀んだ。
「それは俺の口からは言えないな、でも多分、今回が最後の盗みになる。
まぁ、だから俺も黙ってついて行くのさ」
そうなんだ......。
だとしたら、もう少しくらいユアンに付き合ってもいいかな、とフィーネは
思う。
もしこれで、ユアンが嘘をつかなくてすむようになるなら。
それにフィーネを巻き込んで、計画はもう動きだしている。
黙ってしまったフィーネの頭をぽんぽんと優しくたたくと、セオは
片手をあげ、ドアに向かって歩き始めた。
「やめる決心がついたら、いつでも言いに来いよ」
最後にそう言って、セオは部屋から出て行った。