甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

   「イリーナさん、温かい紅茶を淹れたので、一緒に
    どうですか」



 その言葉にイリーナの顔がぱっと輝き、いそいそと立ち上がった
 イリーナは、



   「また、本を持ってきますわね」


 と温かい笑顔をフィーネにむけ、ユアンとともに部屋を出て行った。



 イリーナがエリザのために本を持ってきてくれるのは本当だけど、
 エリザの兄、レナルド=オルセン伯爵と過ごす時間も楽しみにしているのは
 間違いない。

 お茶の時間を二人がどんな風に過ごしているのか、フィーネは知らない。

 二人だけなのか、従者アルバートとしてのセオも一緒なのか。

 でも、お茶の後、狩猟館からその向こうに広がる森までを散歩する二人の
 姿は、フィーネのいるベッドからも見えた。

 一緒に歩く二人の距離がだんだん近くなり、散歩の時間が長くなるのを
 フィーネはずっと、見ていた。

 そして、フィーネの部屋へ紅茶がはいったと呼びに来るレナルドが
 ” イリーナ ”といつしか呼ぶようになり、それに答えるイリーナも
 ” レナルド ”とオルセン伯爵の名前を口にするようになった頃、
 十二月も終わりに近づき、ミトラ祭の日がやってきた。
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