甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 四日前、その目の前のリビングでユアンとキスをした。

 甘くて、やさしいキスだった。

 でも、ユアンはそれ以上はなにもしなかったし、その後は
 レナルド=オルセン伯爵に戻って、兄として接してくる。

 そして、今日もイリーナに会いに行っている。

 イリーナのところへ行くのは、ブルー・サファイアのためかもしれない
 けれど、ユアンがイリーナと交わしたのが、” 恋人のキス ” なら、私と
 交わしたキスは、おままごとのような......、親愛の証にするような......
 そういう気持ちの延長線上にある、キス、なのかもしれない。

 ズン。

 そう思ったら、なんだか今、頭の上に大きな石が落ちてきたような気がした。

 かくっと頭を垂れ、もう一度ため息を落とす。

 ブルー・サファイアを手に入れたユアンが、さっさとここを離れるならいい。

 でも、もし、サファイアと一緒に、イリーナも手に入れたいと思っていたら。



   「ブルー・サファイアは置いていく、でも、もうひとつのサファイアは
    手放せない」



 なんて、いかにもユアンが言いそうだ。

 ああ、やっぱりヨールドに行くことも考えよう。

 でも、肝心のセオがここのところずっといない。

 いったいどこへ行ったんだろう?








 
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