甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 
 
 胸元が大きく開いた服を着た、ブラウンの髪の女が酒瓶を
 持って立っている。



   「お兄さん、まだ飲む?」



 ユアンが頷くと、女は隣に腰をおろし、空のコップになみなみと酒を注ぎ
 媚びるようにユアンにすりよった。

 

 ここは酒場だが、女がこんな格好をしているのは、男を釣るためだろう。

 法的には認められていないが、売春をする酒場の女はいくらでもいる。

 女の服装にユアンは、フィーネが同じような服を着ていて、男に襲われた
 ことを思い出した。

 あのままのしておけばよかった。

 そしたら彼女はきれい事など言えなくなっただろう。

 汚れなど知らない、正しいことをなんの疑いもなく口にするフィーネに
 とことん腹が立つ。

 汚れてしまえばいい、堕ちてしまえばいいと思うのに、他の男がフィーネを
 穢すのは、なぜか我慢できなくて、矛盾した自分にユアンはあきれる。
 
 ふっと自嘲気味に笑うと、腕にもたれかかっていた女が不思議そうに
 ユアンの顔をのぞきこんだ。



   「お兄さん、いい男だね」

   「君もいい女だ」


 そう囁いて、女の開いた首筋に唇を寄せれば、目の前のブラウンの髪と
 剥きだしの首筋に、今度はフィーネを抱き上げたときのことが頭にうかんで、
 ユアンはきつく目を閉じた。

 想いをふりはらうように、目の前の首筋を強く吸う。

 乱暴に背中をあらわにし、そこにも唇を這わせる。



   「あん、ここじゃ、ダメだよ」


 身をよじり、女が立ち上がる。



   「この上に私の部屋があるからさ」



 そう言ってユアンの手を引く。

 その手に指を絡め、ユアンも立ち上がった。



 

 


   
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