甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
主のいない部屋を眺め、書きかけて止まったままの文字
が綴られた紙をデスクに落とすと、フィーネはため息をついた。
あの後いつの間に家をでたのか、ユアンの姿はなくて、夜になっても
彼は帰ってこなかった。
そしてもう三日がたつ。
なにかあったんじゃと心配するフィーネにセオは、”心配ない” と
言うけれど、フィーネの気持ちは楽にならない。
ひどい別れ方をした。
自分だって無理やりファーストキスを奪われれるという、酷いことを
されたのに、フィーネはあのときのユアンの深い哀しみに染まった
顔が忘れられない。
「大丈夫だからさ」
セオが部屋に入ってきて、フィーネの隣までくると顔を覗きこんだ。
「でも、ユアンに酷いことをしたかもしれないの」
「ユアンの秘密を目の当たりにしたんだろ、そりゃ仕方ないさ。
でも、なんでだろうな。
あいつは ”変わるところ” を絶対、人に見せたりしないのに」
「あのとき、ユアンはすごく怒ってたから」
そう言ってフィーネが俯くと、セオはやさしく聞く。
「怖かったか?」
怖くなかったと言えば、嘘になる。
あっという間に瞳の色が変わった...... 普通の人間にそんなことが
できるはずがない。
でもあのとき怖いと言ったのは、別のこと。