甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 そしてその日の午後、ユアンが帰ってきていると聞いたフィーネは
 いてもたってもいられず、階段を駆けあがると、ユアンの部屋に
 とびこんだ。



   「ユアン!」


 そう呼んだ先にユアンはいた。

 でも着替えの途中らしく、下は少し光沢のある黒のズボンを履いていたが
 シャツの胸元ははだけられ、ちょうど彼はシャツのボタンをはめようと
 しているところだった。



   「ご、ごめんなさい」



 慌てて謝って、くるりと後ろを向いたが、でも開いたシャツの隙間から
 ユアンの肌を見てしまって、フィーネの頬が赤くなる。



   「着替えの途中だと思ってなくて......」



 そうもごもごと言い訳をして部屋をでようとしたフィーネを、ユアンが呼び
 とめた。

 ふりかえれば、鏡の前にたったユアンが、じっとフィーネを見つめている。

 いつもと同じ、さめた表情。

 三日前にここであったことなど、忘れてしまったというようなユアンの顔
 にフィーネはほっとするとともに、なんだか拍子抜けしたような
 気持ちになった。

 悶々と考えていたことが、バカらしくなる。

 でも自分も本当のところ、どうしていいのかわからないのだし、
 とりあえず、ユアンが帰ってきたのだから、”よし”としようとフィーネは
 思う。



   「こっちにきて手伝ってくれないか、一番上のボタンがはめづらいんだ」



 黙っていたユアンがそう言い、フィーネはユアンの方へ歩きだした。
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