夢みるHappy marriage
やっぱり、もう一緒にはいられない。この人と一緒にいても結局振り回されて自分が傷つくだけなんだから。
今、この人から離れなきゃだめだ。戻れなくなる前に。
「……私無職になるってなってやっと目が覚めて、私は私の人生をちゃんと歩まないとって。だから、この家も近いうち出てく。今まで面倒見てくれてありがとう。お手伝いさんがいないところ申し訳ないけど、……もう辛くてとてもじゃないけど一緒にはいられない」」
声が震え、次から次へと涙が零れだす。
私の気持ちはもう限界だ。
「だからちゃんと付き合おう、それなら良いだろ?」
簡単に言う彼に苛立ちさえ感じる。
「今日、正吾に言われたよ、あなたの本性を知らないって。早く離れた方が良いって」
「正吾の言うことは信じるのか?」
「あなたの言葉よりはずっと信じられる。もうあなたに関わると傷つくばっかりで嫌なの」
「……ここを出ていくのも、正吾のところへ行くのも絶対に許さない」
「あなたに私の人生を縛り付ける権利なんてない……っ」
泣き濡れた顔で彼を睨み付けながらそう言うと、彼の声が一段低くなった。
「……対価は払ってるんだ、勝手に出ていくなんて許さない」
腕を握られそうになって、すかさず振り払う。
「もうお金はいらない……っ」
「足りないって言うんだったら、好きに使えば良い」
そう言ってブラックカードを差し出してきて、それを睨み付けながら悪態をつく。
まだ金でどうこうなると思われているんだろうか。私の気持ちはそんな程度だと。
「最低、本当嫌い……っ」
「嫌いで良い」
そう言って腕を掴まれると、強引にキスをされそうになって泣きながら抵抗する。
それで終わるはずもなく、今までにない強い力で寝室へ引きずられベッドへ投げ出されてしまった。
体を押さえつけられて、顔が近づいてくる。
悔しくて彼の顔を見据えながら、彼の頬めがけて思い切り平手打ちしようとした。
が、簡単にその手を取られて、ベッドに縫い付けられてしまう。