夢みるHappy marriage
「本当は私今から20kg位太ってて、よくデブス、デブスってからかわれてたの。こんなしょうもない私、絶対この町からは一生出られないんだって諦めてたけど、今じゃこんな高級ホテルでこんなハイスペックな男と、こーんな夜景見ながらシャンパン飲んでる。本当人生捨てたもんじゃないよね」
「……ハイスペックって程じゃないだろ」
誉め言葉のつもりでいったのに、社長さんの顔はどこか浮かない。謙遜とかじゃなくて、本当に人にそう思われていることを嫌がっているように聞こえた。
それに納得がいかなくて、更に社長さんを褒める。
「私が今まで出会った男の中で一番ハイスペックだよ。今まで確かに、五大商社マン、若手社長、三大士業、ドクター、1000万から3000万クラスの人達はいたけど、皆性格や外見に何かしらの欠点があった。だけど社長さんはパーフェクトっ、今まで会った中で最上級の一番良い男だよ」
「はいはい、それはどうも」
「そりゃ最初はちょっと苦手意識あったけど。こんな凄い人と、こうやって面と向かって話してるだけでも、あのデブス時代からじゃ想像もつかない。あの頃に比べたら成り上がったものだよね。何が魂胆なのか知らないけど、こんななんもない私にひと時の夢を見させてくれて、今日は本当にありがとうございました。冥途の土産話にしたいと思います」
「大げさだな」
「だってね、私の人生ね、下剋上なの。0、いやマイナスから始まった人生だったの」
こんな話つまらない、そう思っても滑り出した口は止まりそうにない。
「うちのお母さん、私が小さい頃からころころ男変えてさ。精神的にちょっと幼い人で、子どもの私より完全に男って人だった。その相手が皆、本当どうしようもない奴ばっかりでさ、女は男で幸せになるか不幸になるかって、そこで学んだよね。だから私は絶対良い人見つけなきゃって、貧乏は嫌だし、ギャンブル、酒に依存する男も嫌。怒鳴る男とか殴る男なんて論外。私は絶対お母さんみたいに毎日泣いて暮らしたくないから」
「それでセレブ結婚相談所に入会したのか?」
「そう、もう誰かに委ねたくて。自分の人生最悪だから、どんな手を使ってでも方向修正しなきゃって。だって結婚って人生一発逆転の大チャンスでしょ?これをモノにしなきゃ私の人生落ちぶれたまんまだもの」