ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
朝イチのイサキの発言だ。


『俺さあ、昨晩家に電話したんだよ、シン兄今日行くからさ。

いやここんとこかけてなかったし、前かけたのって半年くらい前だし。

そしたら母ちゃん、息子の俺んことなんか見事にスルーして、シン兄元気かとか、シン兄なんか手柄たてたのかとか、や・た・ら、しつっこいし。

俺が拗ねたら、母ちゃん、シン兄には内緒ってことで教えてくれたんだよ。

「新しく入った従業員さんが、なんとシン兄のお母さんなの」ってさ。

早い話、母ちゃんも父ちゃんもユウキも、知ってたんだよな。

その人はしばらく隠してたらしいんだけどね、ほら俺の母ちゃんあれじゃん、悲しいかな口軽いじゃん。

普段の会話で、うちの息子ってば戦師なんですよーとかアッサリ言っちゃったらしくって、そん時のその人の動揺が半端なかったんだって。

それから腹割って話し合ったらしいよ。

今まで、シン兄のお母さんの方が、シン兄には黙ってて欲しいって母ちゃん達に頼んでたんだって。

なのにあの母ちゃん、俺に漏らすんだから本当ダメダメなんだけど……まあ、それは置いといて。

俺が、その話知ってるよっつったらびびってた。

で、俺も昨日の屋上でのこと大体話してさあ……いや家族通話で無料だからいいけど、一時間くらい昨日は話してたよ、てまあそれはいいとして。

うん、今までの、長すぎる前置きだから。

言いたかったのはこれなんだけど。

シン兄が今日これからその従業員さんに会いに行くよっつったら、だったら母ちゃん達は家をあけるって。

ユウキがお世話んなってるヒナリさんとこに久しぶりに挨拶行こうかな、とか言ってた。

母子プラス義妹、親子3人水入らずでゆっくり話し合ったらいいって』


……なんというか、まあ。


多々つっこみたい箇所はあるが、親子揃って憎い気遣いをしてくれる。


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