レギンレイヴ -Reginleif-

「入りなさい」


中から入室の許可をもらい、私は理事長室へと足を踏み入れた。


「ユーリ・ブラント入ります」


私が理事長室に入ると、理事長が座る机の前へと立った。
理事長の左右に目を配らせると、そこには数人の教官達が立っていた。


「ブラント君、態々呼び出してしまってすまないね」


そう理事長から話が切り出され、私は「いえ…」と返した。


「君を呼び出したのは勿論、理由がある。
アーゼル、説明を…」


「はっ」


理事長からアーゼル教官に話が引き継がれる。


「ブラント君を呼び出した理由は二つある。
まず一つ目は、我がレストア皇国軍兵器開発部が人型特殊兵器“エーテルフレーム”──略称EFの開発に成功した」


「は、はぁ…」


「この兵器は、私達のエーテル力を使い、機体を動かす仕組みとなっている。
勿論、エーテル力のみで動かす訳では無いけどね」


「凄い兵器だと思いますが、それと私に何の関係が?」


新兵器の話をただの士官候補生に話すのはおかしい。
新兵器ならば国の最高機密に価するであろう。
それを何故私に…


「君にはその兵器を扱う特殊部隊に配属になるからだ」


アーゼル教官ではなく、この場にいたバイパー教官にそう告げられた。


「私が…ですか?」


まだ士官学校も卒業していない私に何故…


「そうだ、今期生からは君以外に他四名、計五名選出された。
EFに搭乗するには、決められた適性値を越える者でなければならない。
君達、候補生以外に選ばれた軍人も何人かいる。
今期生は適性値が高い者が五人もいた、という事だ」


バイパー教官からの説明を頷きながら聞く。


「EFが開発に成功した事に伴い、EFを運用する特殊部隊の新設を行う事になった。
レストア皇国軍EF特殊部隊ギュスター・ユーゲント、この部隊に君を配属する」


私は驚いた…
只の士官候補生に過ぎない私が、こんな特殊部隊へ配属になるなんて、と…
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