シグナル
「何?武彦君、言ってごらん!」
そっと喋り出す武彦、
「戦争なんだ、
戦わなかったらこっちが殺されるよ!」
「戦争?誰と戦っているの?
仲間がいるんだよね!」
「テリーやライエル…
あとニックとケイも、
それとラルフとケビン…
他にも大勢の仲間達がいた…」
静かな語り口で応える武彦に、
「そのテリーとかライエルって、
どこの国の人なのかな?」
この問い掛けに複雑な表情を見せた武彦は、
「分からない…
だけどついさっきまで一緒にいたよ!
テリーは?ライエルはどこ?
みんなどこにいるの?
ここはどこなの?
僕これからどうなるの?」
未だ仮想空間から意識が抜け出せない武彦は、
恐怖の為に声が震え、
その瞳からは涙がこぼれ落ちていた。