シグナル

「何?武彦君、言ってごらん!」

そっと喋り出す武彦、

「戦争なんだ、

戦わなかったらこっちが殺されるよ!」

「戦争?誰と戦っているの?

仲間がいるんだよね!」

「テリーやライエル…

あとニックとケイも、  

それとラルフとケビン…

他にも大勢の仲間達がいた…」

静かな語り口で応える武彦に、

「そのテリーとかライエルって、

どこの国の人なのかな?」

この問い掛けに複雑な表情を見せた武彦は、

「分からない…

だけどついさっきまで一緒にいたよ!

テリーは?ライエルはどこ?

みんなどこにいるの?

ここはどこなの?

僕これからどうなるの?」

未だ仮想空間から意識が抜け出せない武彦は、

恐怖の為に声が震え、

その瞳からは涙がこぼれ落ちていた。

< 157 / 228 >

この作品をシェア

pagetop