シグナル
「いずれにせよ、
家庭裁判所に彼の精神鑑定を請求しなければならない日が来るかもしれない、
それより、
もし俺の言う通り精神に何らかの異常があり、
その影響による犯行だった場合、
何らかの施設にはいる事になるかも知れない、
だが万一それを免れても、
社会的制裁が待っているだろう…
例えお前達がそれに耐えられたとしても、
武彦君が世間の冷たい視線に耐えられるかどうか…
当然マスコミは未成年と言う事で顔や名前を伏せるだろうが、
どうしても近所の人達には知れ渡ってしまうだろうからな!」
「そんな…何とかならないのか!」
落胆の表情を浮かべる武雄、
この武雄の悲痛なまでの問い掛けに、
井上が応える。
「世間の冷たい視線からは逃れられないだろう…
とにかく俺としては、
少しでも彼の役に立てるよう努力するだけだ!」
この時井上は、
この言葉を掛けるだけで精一杯であった。
「よろしく頼む!」
武雄が井上に頭を下げたその時、
彼の瞳からは涙がこぼれ落ちていた、
同様に隣に座っていた美智代の目からも、
再び涙があふれ出していた。