一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「とりあえず財布とスマホがあれば充分だろ。社長には俺から言っておくから安心しろ。事務所の戸締りも代わりにやっておくから」


一方的に言うと、私にバッグを押しつけグイグイ背中を押してくる。

そのまま事務所の外に追い出されてしまった。「頑張ってこい」と声を掛けられて。

早く行けと言わんばかりにバタンとドアが閉められてしまった。


「もう、なんなのよ海斗ってば。強引すぎる」


けれど、背中を押してくれたのは海斗の優しさだってちゃんと理解できている。私のためを思っての言動だって。


きっと海斗に相談していなかったら、いつまでもウジウジ悩んで、南さんと会ってはモヤモヤした気持ちを抱くばかりだったと思う。


そうだよね、私がどんなに考えたって南さんの気持ちは南さんにしかわからない。だったら聞くしかないんだ。

せっかく海斗にもらった勇気。無駄にしたくない。


自分を奮い立たせ、南さんにラインを送り駆け足で彼のマンションへと向かった。
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