叫べ、叫べ、大きく叫べ!
喧嘩が始まる……!
ギュッと固く目を閉じると前から爽やかな香りとともに風が吹いてきた。
目を開けるとそこには頭を垂れたツルギという人がいて。
「ごめん!本当にごめん。無神経すぎた。園田さんに嫌な思いさせたこと悪かったと思ってる。本当にごめんっ」
言い終わったのにそれでも頭を下げ続ける彼に私は「そこまでしないくていいよ」と口を開きかけると、横にいる黒い都波が先に口を開いた。
「本当に悪いと思ってんのー?」
「は?悪いと思ったからこうしてるんだけど?」
「ほんとかなぁ」
「ちょっと。そんな言い方止めなよ。……あ、ツルギくん?だっけ。私は別に大丈夫だから。そこまでしなくてもいいですよ」
「……あ、うん」
一旦都波からツルギって人を離させて、ほっと一息をつくけれど、次は女子2人が揃って私の前にやってきた。
1人はボブカットの黒髪で、もう1人は毛先に軽くウエーブがかかっている栗色の髪。
いかにもJKって感じの2人は、揃って頭を下げた。
そんな彼女たちにさっきと同様、同じセリフを掛けるとほっとしたような表情をするから、私は彼女たちにだけ笑ってみせた。
上手く笑えたかは分からないけど、彼女たちも笑い返してくれて、『伝わったかな』なんて胸を撫で下ろした。