叫べ、叫べ、大きく叫べ!

「理由ないといけないの?」


いつの間にか都波が目の前にいて、思わず後ずさる。

距離を開けたのにすぐ縮めてくる彼はなんだか楽しそうにみえた。


な……、なんで距離を縮めてくるの。


1歩、1歩。
後ろへ下がっていくとカシャンと背中にあたった。


そうだ。ここはまだゴミ捨て場内。


駐車場との境界線であるフェンスが私を行き止まらせていることを知って、“しまった”と思った。


そして、彼の手によって逃げ道も失ってしまったこの状況に仕方なく目の前の人を見上げる。



「どいてください」

「んー……嫌だって言ったらどうする?」

「交換しない」

「え〜」


残念そうに項垂れた彼だけど、やっぱりこの場を楽しんでいそう。

チャラ男の余裕ってやつか。なんてやつ。
これでも成績は上位らしいと噂は聞くけど、本当なのだろうか。

信じがたい。


神様ってたまに人を選んでいるんじゃないかって思えてくるよ……。



「園田さんって美人だよね」

「ハイ?」


何言ってんの、この人。

この私のどこをどう見たらそんな風に見えるの。



「都波くんの目、おかしいんじゃないの?」


クラスメイトとはいえ、呼び捨てはさすがにできなかった。
ほぼ初めて喋る相手だし。


この人に関しては苦手意識強いから自然と呼び捨てで呼んでいたけど。


まあ、心の中でなら大丈夫だよね。

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