国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「あなたのせいよ! おばあちゃんがわたしからペンダントを取ったんでしょう!? 捕まってしまえばいいんだわ」
 
エラがルチアの頬を叩こうとした。目をギュッと閉じて、ぶたれる覚悟したルチアだが痛みはこない。目を開けてみるとエラの手が、力強い手に止められていた。

「エラ、君はいったいなにをしているんだ?」
 
ユリウスだった。ルチアもユリウスがいて驚く。

「ユリウスさまっ! わたしの気が収まらないんです!」
 
エラは国王に掴まれた手を振りほどくほど、我を忘れたような荒々しい口調だ。
 
あの大人しかったエラかと、今の彼女の態度がルチアは信じられなかった。

「君は興奮しすぎている。落ち着いたらもう一度話をしよう」

「ルチアが姫の証拠はなんですかっ!?」

「君にはないものを彼女は持っている。アローラ、エラを部屋まで送るんだ」
 
ユリウスの言葉には逆らえず、エラはルチアを睨んでから、アローラと共に部屋を出て行った。
 
ルチアはエラが出て行くと、ホッと胸を撫で下ろす。

「大丈夫か? まさかエラがあれほど激高するなんて思ってもみなかった」 

「いつものエラじゃなかったみたい……」
 
まだ衝撃が収まらなくて、心臓がドキドキしている。

「姫だと確証を得るまで結婚は延期だと告げた途端、突然走って出て行ったんだ」
 
追いかけてみると、ルチアの部屋に入っていったところだったのだ。

「可哀想なエラ……」

「君は彼女の事ばかり考えているんだな。少しは自分の事も考えてほしい」
 
ユリウスの手がルチアの手を包み込む。

「震えているじゃないか。ベッドへ行ったほうがいい」

「わたしは少し休みます……ユリウスさまはエラのところへ行ってください」
 
ルチアはユリウスの手を離れ、ベッドへ行こうとしたそのとき、背後から強く抱きしめられる。

「君はわたしの気持ちなどどうでもいいのか?」

「ユリウスさま……?」

「わたしは君が姫だったらいいのにと思っている。もしも違ったとしても君を離したくない」

 耳元で甘く紡がれる言葉にルチアは泣きそうになった。

「君を愛している。ルチア」

ルチアはユリウスの腕の中で振り向かされ、額に巻かれた包帯の上にキスを落とされる。


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