国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「ユリウスさま……」

「君にはユリウスと呼ばれたい」
 
エメラルドグリーンの瞳がサファイアブルーの潤んだ瞳を見つめる。ユリウスはルチアのふっくらした唇にキスをした。

「どんなに君にキスをしたかったか……」

「ユリウス……」
 
もう一度ユリウスは甘く口づける。

啄むようなキスは角度を変えながら何度も楽しみ、舌が歯列を割る。

ユリウスの舌は口腔内で頬の裏側をなぞり、ルチアの舌に絡ませた。甘いキスはルチアの身体を痺れさせていく。

「んっ……はぁ……」
 
慣れないキスにルチアは苦しくなり、ユリウスは笑ってやめた。

「可愛いルチア」
 
ユリウスは戸惑いながらも微笑むルチアに、早くこの件の決着をしなければと強く思った。

「時間だ。ゆっくり休んで」
 
ユリウスはもう一度、赤みを帯びふっくらしたみずみずしい果物のような唇にキスを落とすと出て行った。
 
複雑な気持ちでルチアは見送った。
 
ユリウスを愛しているが、今の立場ではどうすることもできない。

政務で忙しい国王なのに、私的な問題もあって、休まるときがないのだろうと思う。

(わたしはユリウスが安らぐ存在でいたい……)
 
ルチアはベッドにポスンと座ると、たった今キスされた唇に指先をやった。

 

翌日、朝食のあと、アローラが城の中を案内してくれることになった。
 
城の一階にある礼拝堂から案内される。ルチアは礼拝堂へ初めて入ったのだが、ふと懐かしさが心に湧いてくる。

(なんだろう……ここを前から知っているみたいな……)
 
祭壇の上にあるブルーのグラデーションが美しい色合いのステンドグラスが外からの光を取り込み、礼拝堂の中がキラキラしている。

(まるで海の中にいるみたい)
 
ルチアはこの場所が気に入った。


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