国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
その頃、突然ルチアとエラがいなくなり、城では大騒ぎになっていた。

すぐに二頭立ての馬車が足りなくなっていると連絡があり、門番はふたりがそれに乗って出かけたと報告があった。

「いったいなにを考えているんだ! 包帯が外れたとはいえ、まだ体調が戻っていないというのに」
 
ユリウスは苛立ち、執務室をウロウロする。

「ユリウスさま、我が国の治安は万全です。近衛隊も見回っていることですし、問題なく戻って来られましょう」
 
ジラルドは苛立つユリウスをなだめる。

「いや、迎えに行く」
 
ユリウスはマントを身につけようとした。

「ユリウスさまが街に出られれば大騒ぎになります」
 
国が平和なのも、街が豊かに暮らせるのも、軍神とあがめられているユリウスのおかげなのだ。

民はそう考えており、ユリウスの姿が少しでも見えようものなら混乱しかねない。

「だが、ふたりが姫候補だと知られたりでもしたら、彼女たちは狙われるかもしれない」

「ですから、バレないように戻ってくればいいのです」
 
勝手に出て行ったのだから、勝手に戻ってくればいいというジラルドの持論にユリウスは目くじらを立てる。

「なんと言おうが、わたしは行く」
 
ユリウスは執務室を少し急いた足取りで出て行った。

ユリウスひとりでは行かせられないジラルドも執務室を出る。

そして近衛隊の精鋭10人を護衛に連れて、先に出たユリウスのあとを追った。


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