国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「わが国は金や銀、宝石の原石が出る山があり、そこで採掘する労働者がおります。この山々のおかげで裕福なわが国は他国から狙われる存在なのです」

「この国は狙われているの?」
 
ルチアの背中にゾクリと寒気が走る。

「今は軍神ユリウスさまのおかげで、戦争をする国はないようです」

「軍神って……?」

「見目麗しいユリウスさまですが、とてもお強いのでございますよ。父王と王妃が他国に暗殺されたとき、ユリウスさまはたった百名の兵を連れ、一夜にして相手国の王や側近たちを滅ぼしたのです」
 
ルチアは剣を振って戦いそうもないユリウスに驚く。

「ユリウスさまはずば抜けて頭も良い方ですので、次期宰相になられるジラルドさまとの作戦も功を期し、敵国は敵わなかったようです」

アローラは食べ終わるまで、ルチアが知らないことを話してくれた。
 
食事が終わると、アローラはルチアのお風呂を手伝い、長い髪を乾かした。
 
 
採掘所での事故は崩れてきた石で怪我をした五人以外の者は無事だった。

怪我をした労働者は大事に至らず、城の医師らに手厚く診られた。

それを翌朝アローラから聞いたルチアはホッと安堵する。

「数日休めば大丈夫そうですよ。怪我よりも国王が来てくれ、それだけで元気になると感激していたと、随行した近衛隊のひとりから教えてもらいました」

(ユリウスはこの国で神さまのような存在なんだ……)

「あ、そうでした。ユリウスさまがご昼食を一緒にとご伝言がありましたわ。執務室でとのことなので、後ほどお迎えに参りますね」
 
アローラは隣の衣裳部屋へ入って行く。



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