国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
朝食を食べ終えたルチアは昨晩のせいか、眠気を覚えながら部屋で本を読んでいた。

 
そこへエラが血相を変えてやってきた。

「ルチア! おばあちゃんが大変よ!」

「えっ!? おばあちゃんがどうしたのっ!?」
 
驚いた拍子に、手から本が床に落ちる。
 
エラはルチアの前まで来ると、胸に手をあてて呼吸を整えてから口を開く。

「わたしの実家におばあちゃんが乗り込んで、死んでやるとか、騒いでいるらしいの」

「そんなっ!? おばあちゃんが死ぬなんて!」

「ジョシュが知らせに来たの。ルチアじゃないとおばあちゃんは言うことを聞かないわ。どうしたらいいの?」
 
エラは困ったようにルチアの前を行ったり来たりする。

「……おばあちゃん……エラ、わたしが行くわ」

「でも、ルチアは部屋から出られないんじゃ……?」
 
エラははたと立ち止まり、心配そうな瞳をルチアに向ける。

「大丈夫。おばあちゃんに合わなきゃ。すぐに戻ってくれば……」
 
ルチアの脳裏にユリウスの顔が思い浮かんだが、今は謁見中で多忙極まりない彼の邪魔は出来ないと、ルチアは小さく頭を左右に振る。アローラも側にいなかった。

「それがいいわ。ユリウスさまはルチアのことになると、心配で仕方がないらしいもの」
 
エラは大きく頷いた。

「実はジョシュは裏門で待っているの。馬車を用意したから、ジョシュと一緒に行って!」

「エラ、ありがとう!」
 
ルチアはエラの案内で裏門へ向かった。

『城が窮屈で外に出たいときは必ず私に言ってほしい』
 
ルチアは走りながら、昨日ユリウスに言われた言葉を思い出したが、そうこうしているうちに祖母が死んでしまうと思ったら、一刻も早く向かうしかないと思った。


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