国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「探すのは王弟妃とエレオノーラふたりの手を繋いだ絵だ」

ジラルドとアローラは重なるように立てかけられた肖像画の前に立つ。ユリウスが具体的に指示をするのだから、確信があってのことなのだろう。ふたりは肖像画を一枚一枚、確認し始める。

3人で百枚ほど見たのち、アローラが声を上げた。

「陛下! こちらでしょうか!?」
 
アローラが上半身ほどの大きな肖像画を慎重に持って、ユリウスに見せる。

「そうだ! これだ!」
 
アローラの横に立ったユリウスは肖像画を食い入るように見つめる。
 
肖像画はユリウスの記憶通り、立ち姿の母親である王弟妃と手を繋ぐエレオノーラが鮮明に描かれている。
 
エレオノーラは母親と手を繋ぎ、腕の内側に絵師が描いた赤いほくろのようなものがはっきりあった。

「これは……」
 
アローラが肖像画を見て、あ然となっている。

「アローラ、どうしたんですか?」
 
ジラルドはアローラに聞く。

「ルチアさんの腕の内側にも同じ赤いほくろがあります! ルチアさん、いえルチアさまはエレオノーラさまですわ!」
 
いつも冷静なアローラが顔を紅潮させている。

「肖像画が見つかってよかった。幼い頃のエレオノーラとルチアは類似するところがたくさんあったが、決定的なものが必要だった。これでルチアはわたしの妃だ」

「ユリウスさま、おめでとうございます」

「陛下、祝福申し上げます」
 
ふたりの言葉に、ユリウスは満足気に頷く。

「ジラルド、大事な肖像画だ。しっかり保管しておいてくれ」

「御意」

「陛下、一刻も早くルチアさまにお知らせしなければいけませんわ」

「そうしよう」
 
ジラルドが肖像画を慎重に抱え、3人は宝物庫を後にした。
 
ユリウスとアローラはまっすぐルチアの部屋へ向かう。



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