国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「実は、前に海で沈んだ船を探したときに、大きななにかの塊を見たんです。岩のようで考えてみたら船のようにも。あの時は息が続かず、その後捜索が打ち切りになって。それをエラに話したことがあるんです」
 
ジョシュはもしかしたら、バレージはそこに向かったのかもしれないと思った。

「ルチアを潜らせたいのでは……」
 
最初に見つけたのはルチアだ。

「財宝を持って、敵対国に行くつもりなのかもしれない」
 
ユリウスとジラルドの頭の中ですべてが一致した。

「最近、採掘所に間者が出たりと、不穏な動きをしていましたね」

「ああ。ジラルド、すぐにカタリナ号を追う。わたしの船ならばカタリナ号より速い」

ユリウスの腰に差した剣の柄を掴んでいた手に力が入る。

「すぐに出航の用意をいたします!」
 
ジラルドと近衛隊長とその部下たちが大広間を出て行った。

「お前はその場所に案内しろ」

「もちろんでございます! ルチアを助ける手伝いをさせてください!」
 
ユリウスが命令すると、ジョシュは大きく頭を下げた。


その頃、ルチアはユリウスの読み通り、カタリナ号にいた。彼女の身体にはロープが縛られ、ベッドの上で気を失っていた。

「ん……」

いつもと違って自分が揺れている。次第に意識が浮上して、ルチアは目を開けた。
 
次の瞬間、縛られている身体を起こそうともがくように足をバタつかせる。

「バレージ子爵!? どうして……」

じっと見つめているバレージにルチアは小さな悲鳴をあげる。
 
馬車の中に男が乗り込んできて、ルチアは布を口で塞がれた瞬間意識を手放していたところで記憶がなかった。

「ジョシュはどこっ!?」
 
ルチアの目の前でジョシュは男に木の棒で頭を殴られたのを思い出す。
 
バレージは無言でベッドの上のルチアに近づく。ルチアの顔に恐怖が浮かぶ。




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