国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「ユリウスさま!」

「陛下っ!」
 
そのとき、ジラルドとジョシュが甲板に乗り込んできた。ユリウスの腹部に刺さる短刀にジラルドの顔が引きつる。

「お前たちは船に戻れ!」
 
ユリウスは短刀を抜き、ふたりに命令する。短刀を抜いた腹部から血が流れ、水色ドレスシャツがみるみるうちに赤く染まっていく。

「ユリウスさま、一旦、船に戻りましょう」
 
ジラルドはユリウスの怪我が心配で進言する。

「ルチアを助けるまでは船に戻らない!」
 
ユリウスはジラルドの手を払う。

「ユーリ! 船に戻って!」
 
ルチアはユリウスの怪我が心配でならない。そんなルチアに怒りを覚えたバレージは彼女を引き寄せ唇を重ねた。

「んーっ!」
 
ルチアはバレージの腕の中で暴れた。バレージはキスをやめると、ユリウスに向かって不敵な笑みを浮かべた。

「3人を始末しろ!」
 
バレージは部下に命令する。部下のひとりがジラルドめがけて剣を振り上げる。
 
ジラルドは剣で部下を弾き、切りつける。

「うわーっ!」
 
切られた男はヨロヨロとよろけ、海へ落ちた。
 
落ちた男をジョシュは見ていると、突然海の中へ消えた。その後に鮮血が海を汚す。

「ここはもしかして!? 陛下! この海域は危険です!」
 
ジョシュの声はルチアにも聞こえていた。

(危険な海域……)
 
それはルチアとジョシュの両親が人食いサメに殺された場所だった。

「危険な海域とはなんだ?」
 
バレージがルチアに問う。

「この海域は人食いサメがいるの。海に落ちたら、サメに食べられてしまう」

「ほう……良いことを聞いた」
 
バレージはニヤリと口角を上げた。


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