国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「うん。大丈夫よ。疲れているだけ」

ルチアは安心させるように笑みを浮かべると、小屋に向かって歩き出した。

心配そうに見ているエラやジョジュにかまっていられないくらいに疲れていた。

(早く眠りたい……)

島に戻る間も、甲板でうとうとしたが、横になって泥のように寝てしまいたかった。

ルチアの後をジョシュが付いてくるが、疲れすぎて話したくないのがわかるジョシュは黙ったままだ。

ルチアが海へ潜りに行ったことを知った祖母は、疲れが取れる薬湯を作って待っている。

小屋へ入ると、祖母がいた。明らかにしかめっ面で、ルチアに怒っているのがわかる。

「おばあちゃん、小言は後で聞くわ。今は眠らせて」

ルチアは部屋の隅に腰を落ち着ける。

「ルチア、これを飲めよ。疲れがとれるはずだから」

「ありがとう。ジョシュはよくなった?」

「ああ。俺はもう大丈夫だよ。ほら」

ジョシュに強烈な匂いのする液体の入った容器を差し出され、ルチアはその匂いに顔をしかめながら受け取る。

飲みたくないところだが、飲まなければ明日がつらくなる。

もしかしたら明日の朝、起きられないかもしれない。ルチアは鼻をつまんで薬湯を喉に流し込んだ。

薬湯を飲んだルチアは身体を丸めて横になった。

(まだ2日目……沈んだ船が見つかるまで潜らせる気なのだろうか……何日もこんなことを続けていたら、わたしも島の人たちも身体を壊してしまう……)

ルチアが考えていられたのはそこまでで、すーっと眠りに落ちた。


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