国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
なかなかジョシュは戻ってこなかった。
ルチアは心配で様子を見に行きたかった。
しかし家を出ようとすると祖母に止められる。
何度か家を出て行こうとするルチアに、そろそろ祖母も切れそうに眉間に青筋を立てている。
いや、浅黒い老婆の顔に青筋は見えないが、血管がぷっくり浮いているのは見える。
「おばあちゃん! ジョシュが心配じゃないの?」
「ラウニオンの船が何の用で来たかしらんが、こういう時は女が行くものではない」
ルチアは兄妹のようなジョシュが心配で仕方がない。
タッタッタッ……
外から走る音が聞こえてきた。
(ジョシュ!)
身軽な足音はジョシュのものだろう。
祖母に叱られ部屋の隅にいたルチアは薄い一枚布が扉の代わりの入り口を見た。
そこへ、ジョシュが姿を見せた。
「ジョシュ!」
ルチアは立ち上がり、ジョシュを迎えた。祖母も立ち上がり、曲がった腰で近づいてくる。
「何の用だったの?」
「やっぱりラウニオン国の船だった。15年前に沈んだ船を探しにやってきたんだ。ばあちゃん! そんな話知っているか?」
ジョシュは興奮気味に聞く。祖母は戸惑ったような表情を一瞬見せたが、頑固とした顔になる。
「そ、そんな話知らないね」
「彼らが来た目的は、俺たちにその船を探させようとしているんだ」
「この近海で見たことがないよ。無駄だよ」
祖母とジョシュの話を聞きながら、ルチアは瞳を輝かせた。
(沈んだ船を探すなんて、宝探しをするみたいで楽しそう)
ルチアは心配で様子を見に行きたかった。
しかし家を出ようとすると祖母に止められる。
何度か家を出て行こうとするルチアに、そろそろ祖母も切れそうに眉間に青筋を立てている。
いや、浅黒い老婆の顔に青筋は見えないが、血管がぷっくり浮いているのは見える。
「おばあちゃん! ジョシュが心配じゃないの?」
「ラウニオンの船が何の用で来たかしらんが、こういう時は女が行くものではない」
ルチアは兄妹のようなジョシュが心配で仕方がない。
タッタッタッ……
外から走る音が聞こえてきた。
(ジョシュ!)
身軽な足音はジョシュのものだろう。
祖母に叱られ部屋の隅にいたルチアは薄い一枚布が扉の代わりの入り口を見た。
そこへ、ジョシュが姿を見せた。
「ジョシュ!」
ルチアは立ち上がり、ジョシュを迎えた。祖母も立ち上がり、曲がった腰で近づいてくる。
「何の用だったの?」
「やっぱりラウニオン国の船だった。15年前に沈んだ船を探しにやってきたんだ。ばあちゃん! そんな話知っているか?」
ジョシュは興奮気味に聞く。祖母は戸惑ったような表情を一瞬見せたが、頑固とした顔になる。
「そ、そんな話知らないね」
「彼らが来た目的は、俺たちにその船を探させようとしているんだ」
「この近海で見たことがないよ。無駄だよ」
祖母とジョシュの話を聞きながら、ルチアは瞳を輝かせた。
(沈んだ船を探すなんて、宝探しをするみたいで楽しそう)