国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「お前が姫なんだよ!」

「そんな……だって、おじさんたちはエラを拾ったって……」

「お前と離れたくないわたしのわがままで、そう話すように頼んだんだ。エラ一家は島を出て街で暮らしたがっていたからね」

 祖母はルチアの後ろに回ると、サファイアのペンダントを首につけた。ヒンヤリしたペンダントが首元にあたり冷たい。

「ひどい……」

「ルチア、ごめんよ。お前の人生を狂わせてしまった! 今も命をさらしている!」
 
祖母は悔恨のあまり床に座り込み号泣した。

「でもエラの方が小さい頃の姫に似ているんでしょ?」

「それは偶然だよ。お前を助けたときはエラのように髪が短かった。今よりも黄金のようなブロンドだった。海に潜っているせいで白みがかって行ったんだ。面影を残さないよう髪を切らないよう言っていたんだよ……」
 
その時、バリバリバリと屋根がはがれるものすごい音がして、雨と豪風がふたりを襲う。

「おばあちゃん!」

屋根の次は壁だった。

飛ばされた壁がふたりに直撃し、ルチアはひどい痛みを一瞬感じたのち、意識を手放した。


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