国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
天蓋のあるふかふかの大きなベッド。

首を動かすと身体中に痛みが走り、見回すことが出来ないが、見たことのない天井から下がるガラス細工。

「わたしの城だ」

「おばあちゃんはっ!?」 
 
ルチアはあのひどい嵐を思い出し、起き上がろうとする。

「いたっ……」
 
身体中が痛み、起き上がることが出来ない。

「まだ起きるのは無理だ。おばあさんの怪我は君より軽い。しっかり面倒を見ているから安心するんだ。君はまる2日間眠っていたんだよ」

「そんなに……どうしてわたしはここにいるの……? わたしの城って、やっぱりあなたは……」

「すまない。わたしはこの国の王なんだ」
 
ユリウスはつらそうな表情で口にした。

「君が心配で嵐が収まると、島へ向かったんだ。島はひどい状態だった。君はおばあさんをかばうようにして倒れていたよ。上に木材が折り重なって、万が一のことを思うと生きた心地がしなかった」
 
ユリウスはルチアを助け出したことを思い出し、顔を歪める。

「君はどうしてあのペンダントをしていたんだい?」
 
ペンダントと言われ、意識を失う少し前に祖母が付けてくれたことを思い出し、ハッとなる。右手を首元に持っていくが、ペンダントはなかった。

「あれは……」

話そうとしたところで、扉が開く音がして、エラがユリウスの横にやって来た。

「ルチア! あぁ……よかった。意識が戻ったのね」
 
黄色のドレスを着たエラはルチアの知っている彼女ではなかった。

ヘッドアクセサリーを付け、洗練された様子のエラはすっかりお姫さまだ。

「エラ……」

「ユリウスさまが助けに行ってくれてよかった。ジョシュに会って来たけど、25人しか助からなかったって」

「25人? 長老は? 誰が助からなかったのっ!?」
 
ルチアは痛みを堪えて起き上がろうとしたが、やはり身体の自由が利かなく枕に頭がつく。


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