神にそむいても


「ねぇあなた」

今度は私に視線が向けられる。
それは不自然なほどの笑顔で妖艶で、背筋が凍るほど。

「はい」

「美姫とおっしゃったわね」

「はい」

「今日一日、私の身代わりになっていただきたいの」

「へ?」

「うふふ。大丈夫よ、今日は特別にお勤めなどもないし。
 それに、これはあなたにしかできないことなのですから」

「……はぁ」

「ねっ」

彼女は邪気を隠して私に同意を求める。

私は自分でもわかるくらい眉間にシワが寄っていた。

それをおもしろくないと思った姫の表情は般若のようになる。

「私の言うことがきけないとおっしゃるのなら、私は一向に構わないわ。
 すぐに罪人として突き出すだけだから」

言い切ると、勝ち誇ったような目つきで私を見る。

マジか。

いくら夢でも犯罪者としてひっ捕らえられたくはない。

まして、こんな時代って罪人に対して血も涙もない罰とか与えそうだし。
生きたまま焼かれたりしそう!

「わかりましたっ!」

ゾッとして慌てて返事をした。

「わかればいいのよ。ふふ」

私の返事をきき、表情は一変、
お花畑で戯れるかのような笑顔で立ち上がるとその場でクルクルと回る。

その様を見ながら、うたさんは小さくだけどおおげさにため息をついている。

彼女、薄々わかってはいたけど自由奔放なんだろうな。



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