【新】レンタルフレンド～お友達をお貸しします～
「安里ちゃんには、パパとママがいるじゃない。

確かに、パパとママは安里ちゃんがみんなからいじめられていることを知らなかった。

でも、これからはパパとママが安里ちゃんを守ってあげるから。

だからお願い、今すぐ考え直して。

家を出て東京の大学に行くなんて、もうやめてちょうだい。

安里ちゃんにもしものことがあったら、私…」

母親は安里の顔を覗き込むと、
「安里ちゃん、これはあなたのためなの。

パパとママは、安里ちゃんのためを思って言っているの」
と、言った。

「――私の、ため…？」

呟くように聞いた安里に、
「そう、安里ちゃんのためなの」

母親は首を縦に振ってうなずいた。

（――“私のため”って、何…？）

思えば、自分はいつも母親のこの言葉に騙されてきた。

幼稚園のエミコの時も、小学生の沙織の時も、自分はいつも母親のこの言葉でごまかされてきた。
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