【新】レンタルフレンド～お友達をお貸しします～
気がついたら、部屋は散乱していた。

窓ガラスは割られて、庭には椅子が転がっている。

テーブルは引っくり返り、皿は割れていて、盛られていた料理は床のうえに落ちて見るも無残な状態になっていた。

そのそばで母親が両手で顔をおおって泣いていて、父親は呆然としたようにその光景を見つめていた。


迎えた翌朝、安里がリビングに顔を出すと母親はソファーに座っていた。

昨日まで当たり前のように作られていた料理はテーブルに並べられていない。

リビングとキッチンは片づいているが、窓ガラスは割れたままだった。

ソファーに座っている母親は虚ろな目で自分の指先を見つめていた。

父親はすでに会社に行っているらしく、家にいなかった。

ふと固定電話の方に視線を向けると、母親の財布がそこにあった。

安里がその財布を手に取ったが、それに対して母親はとがめようとしなかった。

母親が何も言わないことをいいことに、安里は通学カバンの中に財布を入れるとリビングを後にした。
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