銀色の月は太陽の隣で笑う
何度か料理に使ったことはあったが、こうしてちゃんと飲むのは初めてだった。
「温めたワインに、スパイスやハーブなんかを入れて作る飲み物なんだけど、体を温めてくれるから風邪に効くと思うよ。地下でぶどう酒を見つけた時に、前に教えてもらったレシピを思い出して作ってみたんだ」
「分量なんかは適当なんだけどね」と笑ったトーマは、記憶の味と比較するようにじっくりと味わう。
「うん……でも、こんな味だった気がするな。ブラックペッパーは、ちょっと入れすぎた気がしないでもないけど」
苦笑するトーマを眺めながら、ルウンはちびちびと舐めるようにホットワインを口に含む。
次第に、体がポカポカと温まってくるのを感じていた。頭もどこかぼんやりして、ふわふわした感覚が不思議と心地いい。
「おいしい……」
いつになく頬や目元が力なく垂れ下がり、ふにゃんとした顔でルウンが呟く。
「それは、よかっ……た」
ルウンの方を向いたトーマの笑顔が固まった。