銀色の月は太陽の隣で笑う
話しかけるに当たって一応顔は上げたものの、微妙に見当違いな方を向いている視線に、ルウンから指摘が飛ぶ。
「どこって、それは……」
トーマは、覗き込もうとしてくるルウンから逃れるように顔を背ける。
そんな攻防を繰り返すうち、しびれを切らしたように立ち上がって視線を合わせに来たルウンに、トーマは逃げきれずに捕まった。
青みがかった銀色の瞳が、真っ直ぐにトーマの瞳を捉える。
ドクンと心臓が高鳴り出して、蘇る昨日の記憶も相まると、ようやく引いた熱が再びトーマの顔に集まってきた。
「トウマ……」
そっと伸ばされたルウンの手が、ぴたりと額に押し当てられる。
「はうっい!?」
予期せぬ事態に発せられた間抜けな声に構うことなく、ルウンは先ほどのトーマを真似て、片方の手で自分の額を、もう片方の手でトーマの額を触って首を傾げる。
「……わたしの方が、熱い」
どうやら熱を測られているようだと頭が理解した時、トーマの額からルウンの手が離れていく。
未だ納得のいかない表情で自分の額に手を当てているルウンを前に、トーマは無意識に止めていた息を大きく吐き出した。それから、努めて明るい表情で立ち上がる。