銀色の月は太陽の隣で笑う
「やっぱり、まだ熱が下がりきっていないのかもね。片付けは僕がやっておくから、ルンは少し休むといいよ」
反射で思わずルウンの頭に手を伸ばしかけ、ハッとして慌てて引っ込める。しかし、バッチリそれを目撃していたルウンは、物言いたげにジッとトーマを見つめた。
「……えっと」
なに?と問いかけてもルウンは答えず、ただジッとトーマに視線を注ぐ。
何か言いたそうな瞳は、同時に、何を言えばいいのか悩んでいるようでもあった。
しばらく、見つめ合う二人の間に無言の時が流れる。
先に耐えられなくなったのはトーマの方で、苦笑気味に笑ってみせると二人分の食器を手にキッチンへ向かう。
「片付けてくるね。ルンは、部屋に戻っているといいよ」
向けられた背中に、何か言わなければと口を開くが、結局言葉は何も出てこない。
無意味に開いた口を静かに閉じて、ルウンはしばらくトーマの背中を見つめた。
一切振り返ることのない背中は、まるで自分を拒絶しているように感じられて、ルウンは堪らず視線を外す。
それから、何も言わずにそっと、寝室に向かって足を踏み出した。