銀色の月は太陽の隣で笑う

つい昨日までは、あんなに熱心に世話を焼いてくれたトーマが、今日はなんだかよそよそしい。

頑なに合わせようとしなかった視線もそうだし、明らかに一度頭を撫でようと伸ばされた手が、途中でハッとしたように引っ込められたのもそう。

思い起こしていると、ツキンと胸が痛んだ。

寝室に入る直前で一度足を止め、振り返ろうかどうしようかと迷ったルウンは、結局流し見るようにチラッと視線を送っただけですぐに寝室に足を踏み入れる。

ちょっとくらい、気にするように後ろを振り返ってくれるかとも思ったが、キッチンで洗い物をするトーマにそんな気配は微塵もなかった。

それがどうしようもなく悲しくて、また胸が痛む。

なぜこんなにも胸が痛いのか、手の平を押し当てて考えてみるが、答えはちっとも分からない。

何かの病気かとも思ったが、他の部分は至って健康。熱も下がったおかげで、すっかりいつもの調子を取り戻している。

ツキツキと痛む胸から一度手を離したルウンは、壁に背中を擦り付けるようにズルズルと床に下がり、そのまま膝を抱えて座り込んだ。

そうやってルウンが寝室でへたりこんでいる頃、トーマはトーマで、水音に隠すようにして悩ましげなため息をついていた。






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