銀色の月は太陽の隣で笑う

そこに綴られているのは、ルウンと言う名の不思議な銀色の少女の日常。何気ない日々の営みが、トーマのミミズがのたくったような字で書き記されている。

またパラパラとページを捲っていくと、あっという間に裏表紙にたどり着いてしまった。

少し戻って、残り少ない白紙のページをしばらく眺めると、トーマはまたぱたりと仰向けに倒れ込む。


「……そろそろ新しいの、買わないとな」


天井に向かってポツリと呟くと、トーマはなんとなく目を閉じた。

そういえば今日は、まだ一度も雨の音を聞いていない。

相変わらず空には重たい雲が立ち込めているけれど、風で雲が動けば、僅かに開いた隙間から光が指す。

終わりが迫っていることを、トーマはひしひしと感じていた。雨季にも、そしてルウンとのこの生活にも。

それを思うとなんだか寂しくて、今まで出会いそして別れてきた人達には感じたことのない離れがたさも抱かせる。

それでも、旅の物書きであることはやめられないから。トーマは、悩ましげな息を吐きながら目を開ける。

その時、階下から微かな物音が聞こえた。

トーマは上半身を起こし、聞き間違いではないことを確認するように耳を澄ます。また、確かに音が聞こえた。





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