銀色の月は太陽の隣で笑う

何かしようと思ったのだ。このまま座り込んで答えの分からない問題をぐるぐる考えていては、胸の痛みが増すばかり。だから、とにかく体を動かそうと。

よし、では掃除でも。と思って寝室を出たところで、ルウンは思い立ったように足を止める。

胸の内にわだかまるこのやるせなさをぶつけるのに、掃除よりも良さそうなことを思いついた。

くるりと体の向きを変えたルウンは、そのまま地下へと向かい、粉袋を持って今度はキッチンへ。

ルウン一人でも楽々持ち上げられる程に少なくなった粉を、この機会に全て使ってしまおうと思った。

作り置きしておいたパンも、在庫が少なくなってきていたので丁度いい。

トーマから、“今日もまだ安静に”と言われていた事などすっかり忘れて、ルウンはまず念入りに手を洗った。

それから、大きめのボウルを取り出して、そこに量った材料を入れて混ぜていく。

体を動かしていると、やはり気が紛れていい。おかげで、ツキツキとした胸の痛みも今は収まっている。

そのことに安堵しながら、ルウンは一心にボウルの中身を手で混ぜていく。

この時、自分の手元に意識を集中させていたルウンは、階段を下りてくる足音があることに、全く気がつかなかった。





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