銀色の月は太陽の隣で笑う
トーマが鼻をヒクつかせるのとほとんど同時に、ルウンがハッとして顔を跳ね上げる。
いい香りがするね、と声をかける間もなく、ルウンはカップをテーブルに置いて立ち上がると、慌てた様子でパタパタとキッチンに駆けて行った。
その背中を呆然と見送ったトーマの元に、先ほどよりもはっきりと、何かが焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
キッチンの方を伺えば、何やらワタワタしているルウンの姿が見えた。
いつでも駆けつけられるようカップを置いて、「大丈夫?」と声をかけると、振り返ったルウンはコクコクと何度も頷く。
程なくして、ルウンはお皿を二つ手にして戻って来た。
「ちょっと焦げた……けど、お昼」
ルウンは、おずおずと皿をトーマの前に置く。
そこには、ホワイトソースとチーズをたっぷりのせて焼いた食パンがあった。
焦げたとは言っても、表面のチーズとパンの耳に少し色がつきすぎているくらいで、トーマにしてみれば気にするほどのことでもない。
「これくらい、焦げているうちに入らないよ。凄く美味しそう」