銀色の月は太陽の隣で笑う
思わずビクッと肩が揺れたが、別に悪いことをしていたわけではないと思い直し、一瞬で表情を笑顔に変える。
「今日も凄く美味しいね」
にっこり笑うトーマに、ルウンは恥ずかしそうに微笑み返す。
その瞬間トーマは、ルウンの口の端に赤い煌きを見つけた。
いつかのルウンのように、トーマはそっと自分の口元を指先で指し示す。
示された場所を指先で拭ったルウンは、指についたジャムを舌先でぺろっと舐めとった。
その様子を眺めて、やっぱり小動物だと小さく笑みを零したトーマは
「ルン、まだ少し付いているよ」
伸ばした指先で、そっとルウンの口の端を拭った。
気遣うようにほんの一瞬だけ、口の端をトーマの指先が通り過ぎて行く。
驚く暇もなかった。
気がついたら、トーマは布巾で指先を拭いているし、触れてみた口の端にはもう何もついていない。
ほんの少し固まって、何が起きたのかを頭の中で整理したルウンは、何事もなかったかのようにカップに手を伸ばすトーマの方に視線を向ける。