銀色の月は太陽の隣で笑う


「僕もやってみたかったけど、もう砂糖を入れちゃったから、きっと凄く甘くなっちゃうよね」


カップの中に視線を落としたまま、トーマは残念そうに息を吐く。

しばらく迷うようにその様子を見つめていたルウンは、やがておずおずと自分のカップを差し出した。

気がついて顔を上げたトーマは、驚いたように目を見張る。


「あっ、ごめん!そんなつもりじゃなかったんだ。物欲しそうな目をしていたように見えたなら本当にごめん!」


ワタワタと慌ててカップの前に両手を突き出すトーマに、ルウンは差し出す形になっていた手をそっと引く。

やはり自分の飲みかけでは失礼だったか、と思い直し、今度は新しいものを入れにティーポットを掴んで腰を浮かすと、意図を察したトーマがそれもまた慌てて止めた。


「確かに飲んでみたいとは思ったけど、別に今すぐってわけじゃないんだ!物欲しそうに見ていたって言うよりは、好奇心。どんな味がするのかな、とか。砂糖とはどんな風に違うのかな、とか」
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