桜時雨の降る頃
「陽斗、こないだアヤちゃんに告白されたってホント?」

わたしは朝霧家に宿題を持ち込み、3人でよく机にかじりついてやっていた。

その時に例の件について、我慢ができず早速聞いてしまった。

ノートを広げたばっかりだった陽斗は目をまん丸くして手を止めた。


その隣で同じように目を丸くしていた朔斗が陽斗の肩に手を置く。

「女子は噂回んの早いから。諦めろって」

ニヤニヤしながら陽斗に促すところを見ると、その噂の信ぴょう性は更に増した。

「……本当なんだ?」

わたしはマジマジと陽斗を見つめた。


すると観念したらしく、少し顔を赤くさせながら

「うん、ホント」

と気まずそうに言う陽斗を見てわたしはなんだか複雑な気持ちになった。


3人の中で、隠し事はないと思っていたから。

陽斗や朔斗に関することを、周りから聴かされるなんてことはないと思っていたからかもしれない。

いつだって陽斗達の最新情報を持ってるのはわたしだと自惚れていたんだ。


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