桜時雨の降る頃
わたしの口調に少し面喰らったのか、
キャプテンは口を真一文字に結んで黙った。


けれどそれは一瞬のこと。

すぐに満足そうに口角を意地悪く上げて微笑む。




「へぇ、身の程わかってるじゃん。
アンタなんかあの2人と並んでたら不釣合いだもんねぇ。

じゃあ、もうあの子達に近づかないでね?
それとボール磨きよろしく。なーんか態度悪かったし!モチロン1人でね」


キャハハハ、と甲高い笑い方でその場から立ち去ろうとする先輩たち。


その後ろ姿を目で追ってから、はぁ、と小さく嘆息を吐く。

……言いたい放題言ってくれちゃって。

近づかないでって、何様のつもりだろう。



ちなみにボール磨きならさっき1年全員でやりましたが。

再度やれってこと?

山になってるボールを思い浮かべて嫌気が差す。


もう一度先輩達の方を見やると、姿が見えなくなったと同時に「キャッ」と小さく悲鳴が聴こえてきた。



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