桜時雨の降る頃

何それ……!

まるで人質を取ったみたいに。

もう我慢出来ない。2人をこれ以上こんなくだらないイザコザに巻き込みたくない。

何より、足を引っ張ってるのがイヤだ。

そう思ったわたしは、わざとジャリ、と音を立ててその場に割って入った。

足音に気付いた先輩たちがこちらを振り向く。


「二階堂さん……」

「雫」

わたしに気付いたみんなが、目を丸くしてこちらに視線を投げた。


「先輩、もうやめてください。わたしならさっき言ったとおりにしますから。それで文句ないですよね?」


キャプテンは一度視線を双子にゆっくりと戻してから、またわたしを見た。


「なかったんだけど、2人がやめろっていうから〜。なら代わりに言うこと聞いてもらいたいじゃない?」

目を細めてニッコリ笑っているが、こちらは背筋が凍りそうだ。



「……おい、いーかげんにしとけよ性悪女」

周りがハッとするほどの暴言を吐いたのは



朔斗だった。
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