桜時雨の降る頃
なおもニヤニヤとわたしを見てくる朔斗を軽く睨みつけながら、わたしも負けじと返した。

「そ、それより、そーゆうそっちこそいるんじゃないの?好きな人!」

そうだ。

わたしたち3人は恋バナをしなさすぎかもしれない。その辺の事情をお互い全然知らない。

陽斗と朔斗は目を丸くした後、お互いの顔を見合わせている。


兄弟でそんな話したりするのかな……

となぜかわたしがドキドキしてきた。



「陽斗、いんの?」

「朔斗こそどうなの?」


……なんだ、この探り合いみたいな。

2人の間でもやっぱそんな話しないのかな?

そう思っていると、同時にこちらを向いて2人が答えた。


「「いるってことで!」」

「えぇっ? なんか今のはいないって感じじゃなかった?」


「フェイクだよフェイク! 雫にいて俺らにいないわけないじゃん」

朔斗の言葉に、どーゆう意味よ、と頬を軽く膨らませると陽斗が笑って言った。

「雫が内緒なら、俺らも内緒ってことだよ」


「えーっ、いいじゃん教えてよ! 気になる!
内緒にするから」

「雫が教えてくれたらいいよ」

うっ……

教えるも何もいないのに言えるわけがない。

分かっててそう言ってんのかなぁ。



チラッと2人を見ると怪しげにニッコリ微笑んでいた。
< 30 / 225 >

この作品をシェア

pagetop