桜時雨の降る頃
「2人も気付いてないのかもしれないけどね。
見てると分かるよ、なんか」
部屋の照明は既に落としているので、表情は暗くてよく分からないけど、佳奈ちゃんの声は真剣だった。
「しーちゃんが双子じゃない誰かを選ぶなら大丈夫かもしれないけど、あの2人のどっちかを選ぶ時が来ちゃったら、3人仲良くはいられなくなるんじゃないかな…」
仲良くはいられない?
胸の奥の方でチクっと小さな小さな棘が刺さったような気がした。
でも、そのことは心の底に蓋をして、わたしはかろうじて答えた。
「……考え過ぎだよ。そもそも、わたしはあの2人を好きにはならないし、あっちもそうだと思うよ?」
「そうかなぁ。私のカンは当たるんだけどな」
「今回ばかりはハズレだね〜」
佳奈ちゃんの言葉を軽く笑い飛ばしながらも、
わたしは胸がザワザワする感覚を拭えないでいた。
実際、佳奈ちゃんのカンは当たることが多い。
誰と誰がくっつくとか噂話をしていると大体そのとおりで。
きっと観察眼に長けているんだと思う。