桜時雨の降る頃
陽斗が連れて来てくれたのは、老舗の和菓子屋さんだった。
その場で食べれるように、店内にいくつか席も用意されている。


「雫、こういうの好きそうだなと思って」

わたしは洋菓子より和菓子派だ。
双子にはよく「ばあちゃんみたい」と笑われていた。

同級生の女の子たちはみんな、オシャレで可愛い洋菓子が好きだから、わたしもそれに倣ってこの旅行中は自分の好みは二の次にしていた。

ガラスのショーケースの中には彩りも華やかな練り切りなどの和菓子が品良く並べられている。

「うわぁ、どれも可愛くてキレイ! この大福も美味しそうだなぁ」

わたしは俄然テンションが上がって、どれを食べてみようか、必死に品定めを始めてしまった。


店員のおばちゃんが「これ今の季節の限定でオススメよ」と笑顔で対応してくれる。


「ここで食べてく? 食べてってくれるならお茶出すわよ」

おばちゃんがそう言ってくれたので、わたしはどうしようかと、陽斗の方を見た。

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