桜時雨の降る頃
迂闊だったなぁ……

最近は学校でもそれなりに距離を置くことに慣れてたのに。

いつもの場所ではないことが、やっぱり解放感を与えてしまったんだ。


この旅行中ずっとこの刺すような視線に耐えなきゃいけないのか。


「しーちゃん、結局どこ行ってたの?」

佳奈ちゃんが、落ち込むわたしを気遣いながらも“デート”の内容に触れてくる。

でも、黙ってこの状況に晒されてるよりは喋っていた方が気が紛れるのでありがたかった。


「和菓子屋さん。いいとこ見つけてくれてて」

「しぶっ。でも、しーちゃんお団子とか好きだもんね。さすが陽斗くん」

クスクス笑いながらも合点がいったようで、頷いている。


「だから、言ったじゃん? きっと好きだよって。じゃなかったら、そんなお店見つけてもわざわざ連れて行かないでしょ」


「…………」


引き始めていた顔の熱がまたカッと上がり、恨みがましく佳奈ちゃんをジトッと見つめた。



「やめてってば。変に意識したくないの! それに陽斗はそういう優しい人なんだよ」


思わず語調を強めてしまったから、佳奈ちゃんも目を丸くして黙ってしまう。


本当は佳奈ちゃんの言うように、陽斗がわたしを?って少し思っていた。

自分は得意ってほどじゃない餡菓子をわたしのために注文してくれたりするのはなんで?

幼なじみだからって特別扱いされるのも、この歳になると何か違う気がする。



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